好きな人の好きな曲を必死に聴いたことがある人は、大橋裕之の『シティライツ』で笑う

 

「オトナなのに叱られた。そんなあなたの味方参上!」

モーニング・ツー連載時の表紙のコピー文

 

 

大橋裕之さんのマンガが好きだ。特に『シティライツ』と『太郎は水になりたかった』がお気に入り。

絵を観て察するだろうが、とにかくシュール。

主人公たちはクラスの隅でくすぶっているタイプの人種で、本当になんてことない、でも奇想天外な日常の一部分が描かれているマンガである。

だから、本人たちの悩みや状況は、結構きつめ。というわけなので、結構切ない。でも、そんな主人公たちへの、人間への、愛に溢れた作品だと思う。別に、状況が好転したり、ハッピーエンド的な仕上がりにはなっていないが、なぜか、救われる。そんなマンガである。

 

そんな大橋さんの代表作の一つである『シティライツ①』から、今日は「部長の恋」について書きたい。というのも、単行本の裏表紙にもなっている、

まさか恋でもしてるの?

んなワケないか

こんなゴミみたいな暗い人間が

という抜群の破壊力を持つこちらの台詞が発せられているお話しであるから。

 

 

スポンサーリンク

 

 

北石器山高校、超能力研究部(部員3人)の部長は、クラスの森くんに恋をする。

森くんは明るくて誰にでもやさしい私とは正反対な人

私は黙々とスプーンを曲げる暗い女

そんな部長は、もっと森くんに近づきたかった。

あるとき、森くんが「バンボラ」という単語を発する。

もちろんすぐに検索。バンボラはロックバンドだった。

私はバンボラのニューアルバムを買うか

ベストアルバムを買うかで迷ったが

 

ニューアルバムを買うことにした

正直 よくわからなかったけど

くり返し

何度も聴いた

この感じがすごい好き。

あと、私ならニューアルバムじゃなくて、ベストアルバムにします。

 

少し違うと思うけど、このCDを大切にする部長を見て、私は自分が初めてCDを買って聞いた時のことを思い出した。わけもわからず買ったCDこと、ピクミンのテーマ曲。まさに、正直よくわからなかったけど繰り返し何度も聴いていた。

その曲が気に入ってCDを買ったんじゃなくて、「CDを買って音楽を楽しんでみたい」という憧れを実現する為に、目的を果たすために、音楽を聴いていただけだった。

部長も、言うまでもなく、バンボラが好きなんじゃなくて、森くんの好きなものを好きになりたかっただけ。

(さらに脱線すると、映画『ただ、君を愛してる』の宮崎あおいの台詞「あたしはただ、好きな人が好きな人を、好きになりたかっただけ」も思い出す。)

大橋さんのマンガでは、そんな些細な描写が繰り広げられている。

 

その後、バンボラを聴き込んだ部長は、努力の甲斐があって、森くんからバンボラのニューアルバムを貸してもらえた。自分が持っているのと同じ、ニューアルバムを。

ばれないように、森くんの歌詞カードと自分の歌詞カードを交換してみようとして、終いにはどっちがどっちの歌詞カードだかわからなくなるハプニングも経験する。

 

そして、ついに森くんから、バンボラのライブに一緒に行かないか、と誘われる部長。

この続きは、ぜひマンガをお読みください。

大橋さんらしいストーリー展開となっておる。

 

 

スポンサーリンク

 

 

音楽を音楽として楽しんでいない。こんな経験、あります。

私の場合は、(部長と一緒で)好きな人が好きだと言っているアーティストを好きになろうとした時、おしゃれな人や雑誌が紹介している音楽を理解しようとする時、とかがそんな時。

そういう時は娯楽として楽しんでたわけじゃなくて、その先の目的のための音楽だった。

好きな人を理解したいから、おしゃれになりたいから。

私はこういう動機で音楽にとっかかることがある。わりとよくある。だから、部長の音楽との向き合い方には共感したし、笑えた。

 

ちなみにここで言った私の好きな人とは、イケメン俳優のことです。

おしまい。

 

 

スポンサーリンク